日本の医療分野が抱える課題として、これまで延命を優先した患者の治療を行ってきたことが挙げられる。
まずは、患者の命を少しでも長らえさせることが主要な目的となり、一方で患者自身の生活の質にはあまり目を向けられてこなかった。
治療の甲斐あって命はとりとめた患者も、その後に生きる望みを失うケースは珍しくない。
しかし、近年になって、延命だけにとどまらず患者の生活の質を重視するクオリティオブライフの概念が日本にもたらされ、次第に受け入れられる傾向にある。
患者の命を単に救うだけでなく、患者の生活の質の向上も重視する動きが業界内で活発化してきた。
これからは多くの病院でクオリティオブライフの考え方が重視されることになるため、この課題に対して看護師も全くの無縁ではない。
医療業界のこのような現状に合わせて、看護師自身がこれまでの仕事に対する考え方や姿勢を改めなければならない。
クオリティオブライフを意識し、患者に対して質の高い医療サービスを提供するためには、まずこの新しい概念を詳しく理解する必要がある。
クオリティオブライフの概念に関心を持つ看護師は業界では多く、実際に看護師同士で積極的に勉強会などが行われているのが現状である。
また、クオリティオブライフに興味を持つ看護師が、本格的にこの概念について知り仕事でも実践したいのであれば、クオリティオブライフの実現に力を入れている病院への転職も視野に入れるべきだろう。