日本の医療現場が抱える課題の一つとして、終末期を迎える患者をケアする体制が整っていない事が現状の問題として挙げられる。
欧米では以前から終末期の患者をケアする重要性が認識されていて、ホスピスなどの専用施設が各地に整備されてきた特徴がある。
一方で日本にターミナルケアの概念が入ってきた時期は遅く、対応が遅れている点が大きな課題として挙げられる。
日本の医療現場ではこれまで、できるだけ患者の命を長らえさせる点に重点が置かれる傾向があって、患者本人の意思を最大限に尊重するための体制が整ってはいなかった。
しかし日本でもターミナルケアの重要性が知られるようになるにつれて、このサービスの充実に取り組む医療施設が増えつつある。
ただし、終末期を迎える患者にターミナルケアサービスを提供するためには、専用施設を各地に増やすだけでは問題がある。
施設は存在したとしても、ターミナルケアのサービスを患者に提供するためには看護師の存在が欠かせない。
看護師が終末期を迎える患者にケアサービスを提供するためには、専門的な知識が必要となる。
そのため不足している看護師の人材を簡単に補充するわけにはいかない。
そこでターミナルケアの仕事に携わることができる看護師を増やすため、将来を見据えて人材の育成に取り組むことが日本の重要な課題となる。
看護師が計画する将来のキャリアアップの目標の一つとして、ターミナルケアの仕事も新たな可能性として視野に入る。
ターミナルケアサービスの提供体制が整っていないこと以外でも日本の医療現場の問題点は様々であり、看護師に求められるものは今後増えていくだろう。